2017-01-01から1年間の記事一覧

しゃべるあたま

おれを四囲しているスズメバチの如く善悪を弁えぬ連中がわざわざ自ら社会的なる地獄に身を置いて、手に負えぬ怪力の鬼たちとの悪戦苦闘で困憊している様は、根源のハッキリせぬ患部を掻痒しながらカユいまだカユいと喚いている風だ。斯くも無惨な狂態を示し…

大事件

このくそ暑い昼下がりに、河川敷の脇の鬱然たる草むらを、ハエ・蚊・蜂・バッタなど、おれにとっては益体もない性根の腐った虫共に襲われ又殺しながらも、止むに止まれず進んで行かねばならぬ苦労を誰が分かってくれようか。「見つからないですねえ。どこに…

銭ゲバ大家、無情に非ず

アアラ、酷いねえ。アンタ、こりゃ酷いよ。まったく参っちゃうわよねえ、ここまでされちゃうと、サスガにねえ。たしかに入居するときに「好きに生活して構わないからね」と言ったのはワタシだけどねえ、限度ってもんがあるでしょう。ほら、壁もなんなのアレ…

【短評】都市の駅

都市の駅はすり抜けるものだ。電車の乗降や、排泄や、仕事や、食事や、買い物をするところではない。ゴムの脳みそにウロウロ動かされている馬鹿や、鉛の如き体を引き摺る女や、油切れのブリキの老人や、往来の中心で立ち止まって手を振り振りサヨナラをする…